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ワーグナーが教えてくれたこと

職場のデスクから見える風景に変化があった。
しばらく見慣れた船底が青色の船、10月17日に宇高国道フェリーが運航を休止したのだ。今、少しの寂しさを感じながら仕事をしている。
去る9月16日、東京文化会館で行われたワーグナー作曲のオペラ「パルジファル」を鑑賞してきた。ワーグナーのオペラを観るのは5作品7回目であるが、「パルジファル」は初めてであった。
このオペラを観るためにわざわざ高松から飛行機で東京に行ったのに【開演14時・終演19時】の看板を見て『長いな~』『眠ってしまったらどうしよう…』『お尻が痛くなったら…』『お腹が空いたらイヤだな~』みたいに、幼児にも負けるような恥ずかしい気持になっていた。
それは過去のワーグナー観劇のあまり良くない思い出があったからだ。若くて音楽も何も解っていない20歳の頃、ただただ長くて面白さを感じなかった。それ以降も基本的には受け入れられていなかったのだ。
ところが今回は違った、ワーグナーの音楽がすっと身体に入ってきた。作曲者の意図が伝わってくる。
歌手のレベルも高く、演出・舞台装置も素晴らしかった。でも、支えているのはワーグナーの音楽で、全てのエッセンスが曲の中に書かれているように感じた。久しぶりにオペラを聴いて熱い感情が湧いてきたのだ。
僕もワーグナーが理解できる男になってきた!違いが分かる男!とご満悦な気分に浸れた夜であった。
昔から『食わず嫌い』と言う言葉がある。
しかし今回の場合はそれには該当しないと思っている。なぜなら美味しくないと思いつつも、5年に一度ぐらいの割合で4作品6回も観ていたからだ。
そこでこんな言葉はどうだろう、『嫌いなものも何年かに一度は食べてみる』
そうしたら、昔は好きでなかったものも美味しく味わえる自分に出会えるかも知れない。クラシックはつまらないと思っている方、オペラは好きだけど室内楽は…、と思っておられる方、たまには違った味を召し上がってみてはどうだろう。
なんたって、秋は食欲の季節ですからね。
今回から、この芸術ブログを担当することになりました米田優です。小学生の頃から作文が苦手な子共でしたが、感じたことを丁寧に書かせていただこうと思っております。どうぞ、宜しくお願い致します。